毎年健康診断を受けているから、病気の心配はないと安心している方も多いと思います。しかし、健康診断は主に生活習慣病リスクに関する検査を受けるものです。全身人間ドックで総合的な検査をすることで、がんなどの健康診断では発見できない疾患を早期に発見することができます。
全身人間ドックは、時間と費用がかかるというイメージを持たれている方も多いですね。実際のところ、全身人間ドックにはどのような検査項目があるのでしょうか?また、どの位の費用がかかるのでしょうか?
全身人間ドックの検査項目1
全身人間ドックには沢山の検査項目があります。
■身体計測
肥満、高血圧や糖尿病、高中性脂肪血症、高尿酸血症などの疾患を見つけることができます。
■血圧測定
血管の状態や心臓のポンプ機能が正常かを調べることができます。
心電図検査によって、狭心症や心筋梗塞、不整脈などの疾患を発見できます。
■眼圧検査
眼圧が高いと緑内障や高眼圧症の可能性があります。失明の原因になる緑内障ですので、眼圧が高いなら精密検査が必要になることもあります。眼底検査では、白内障や緑内障の有無、糖尿病や高血圧が原因の合併症、動脈硬化の程度を調べることができます。
■呼吸機能検査
肺の機能を調べて肺線維症や間質性肺炎などの疾患がわかります。
■胸部エックス線検査
肺炎や肺がん、肺結核、胸水、気胸、などの呼吸器の疾患があるかと疾患の程度も把握できます。
■上部消化管エックス線検査
バリウムと発泡剤を服用して、ベッドの上でうつぶせや仰向けになって、エックス線写真を撮影します。この検査によって、がんや潰瘍、十二指腸ポリープ、胃のポリープが見つけることができます。
■聴力検査
4000Hz(高音域)と1000Hz(低音域)の聴力を調べ、聴力の低下や難聴、耳下腺炎、聴神経腫瘍、ウイルスの感染、中耳炎などの病気を見つけることができます。
全身人間ドックの検査項目2
通常の健康診断では検査が行われない項目がほとんどです。
■内視鏡検査
内視鏡を口や鼻から挿入して、十二指腸や胃、食道などの上部消化管を観察する上部消化管内視鏡検査は、一般的には胃カメラと呼ばれているものです。この検査では、十二指腸潰瘍や食道がん、胃ポリープ、逆流性食道炎、胃がん、胃炎、胃潰瘍などの病気を見つけることができます。
■腹部超音波
胆のうに胆石などがないか、腎臓やすい臓、肝臓に腫瘍がないかを調べます。しかし、奥深い場所にあるすい臓は、超音波が入りにくいため観察が難しいです。
■血液検査
空腹状態でないと血糖や中性脂肪など評価が正しくできない場合があります。腎臓や肝臓の異常、貧血、糖尿病、高脂血症などの病気が発見できます。
■尿検査
尿比重、尿蛋白、尿潜血、尿糖、尿沈渣について調べる尿検査。糖尿病、脱水症、尿崩症、腎不全、腎機能の低下、糸球体腎炎、膀胱炎、尿路結石、腎性糖尿、甲状腺機能亢進症などの病気を見つけることができます。
■便潜血検査
陽性の場合、大腸がんや大腸ポリープ、消化管の出血性の病気などの疑いがあり、更に検査が必要になります。
その他、聴診器で異常音を調べたりや、手でトントンと触れて異常を調べる触診などの内科診察も行われます。うねうねとした血管が浮き出ているのが下肢に見えれば下肢静脈瘤、心臓の雑音が聴診器で聴取できれば心臓弁膜症が発見できます。
全身人間ドックのオプション検査
人間ドックの基本コース以外にも、年代や性別によって受けた方が良い検査をオプションとして追加することができます。
■30歳代、40歳代
全身人間ドックを受ける場合、基本検査以外で追加しておくべきオプション検査が、胸部CT検査、大腸内視鏡検査、喀痰細胞診検査です。
■30歳代から50歳代の女性
子宮頚部細胞診、乳房超音波検査、マンモグラフィー、骨密度測定を受けることをおすすめします。
■50歳を以上
50歳を越えると定期的に全身人間ドックを受け続けることが重要です。がん、心臓病、脳卒中については特に注意が必要。心臓ドック、脳ドック、胸部CT、大腸内視鏡検査、喀痰細胞診を受けましょう。更に男性は前立腺がんを調べるPSA検査を追加すると良いです。
年齢によってオプションの追加を検討するだけでなく、病気になった方が身内にいる場合もオプション検査追加を検討してください。病気の原因に遺伝的要素も含まれるため、心臓や脳に関わる病気になった方がいる場合は心臓ドックや脳ドックのオプション検査を、大腸がんの場合は、基本検査の便潜血検査だけでなく大腸内視鏡検査を追加してください。
日本人に増え続けるがんを早期発見するために、頻度が高い大腸がん、肺がん、胃がんを中心にして、女性は乳がんと子宮がん、男性は前立腺がんの検査が大切です。
全身人間ドックにかかる費用
自由診療である人間ドック。全身人間ドックやオプション検査の費用は、医療施設によって異なります。
日帰りで行う全身人間ドックの相場は平均4万円と控えめな価格になっていますが、通常の健康診断に超音波健診やX線撮影をプラスした程度の検査となり、脳梗塞や心筋梗塞、がんなどの重大な病気の早期発見は困難です。
全身人間ドックに脳ドックをオプションでつけると平均6万円、全身人間ドックにレディースドックのオプションをつけると平均5万円程の検査費用になります。さらに、重大な病気を早期発見するための検査を全て加えると、平均で25~30万円程の検査費用がかかります。
1泊2日で行う全身人間ドックは平均5~7万円程の検査費用になりますが、やはり重大な病気の早期発見のために検査を加えていくと、平均30~40万円程の検査費用になります。
また、オプション検査の追加費用ですが、心臓ドックは平均5万円、脳ドックは平均4~9万円、レディースドックは平均4~8万円、がんドックは平均22~23万円程になります。
全身人間ドックにかかる費用を安く抑えても、重大な病気を見逃してしまっては検査を受ける意味がありません。医療施設によって、検査項目や検査方法、検査費用は異なりますので、全身人間ドックは自分に合ったものを選びましょう。
まとめ
健康診断では10~15項目の検査を受けますが、全身人間ドックの検査は50項目以上あり、必要なオプション検査を追加していくと100項目程にもなります。
検査内容が同じでも、低価格でより沢山の人に検査を受けてもらうことを重視する医療施設や、金額は高くても1人1人に丁寧な対応をすることを大切にしている医療施設など様々です。予算、検査内容、求める医療サービス内容によって人間ドックを選ぶようにしましょう。
人間ドックは様々な検査を受けることで重大な病気を早期発見することができるため、この先の健康を維持するためにも、毎年、あるいは2年に1回は継続して受けることをおすすめします。
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