人間ドックを受けたものの、検査結果の読み方がわからない人は多いです。検査結果は、その日のうちに知らされるものと検査結果報告書として郵送されてくるものがあります。
せっかく郵送されてきても、検査結果の見方がわからず一通り目を通して捨ててしまう人もいます。自分の身体の変化や病気を見逃さないためにも、検査結果の見方を知っておくと良いでしょう。
そこで今回は人間ドックの検査結果がいつ頃届くのか、どのように見ればよいのかについて詳しく解説します。
人間ドックの検査結果の判定と結果通知
施設ごと検査方法や使われる検査機器や試薬なども異なるため、測定値や単位までも違ってくることもあります。検査結果が記載されている隣に「総合判断結果」があります。これは今後の指針にもなる結果です。アルファベットのAからFなどの数段階にランクされていています。
A 異常なし | 今回の検査の範囲では異常はない |
B 心配ない | わずかな異常は認められる |
C 要経過観察・生活習慣の改善 | 軽度の異常 |
D 要再検査または要精密検査 | 病気の可能性が高い、精密検査の結果異常がない場合もある |
E 要治療 | 病気と考えられ治療が必要 |
F 治療中 | 引き続き治療を継続が必要 |
検査報告書の基準値はあくまで目安に過ぎません。受診日のコンディションや前日の睡眠不足や飲酒、飲食によって一時的な不摂生でも数値は左右されます。また年齢や性別、個人差もあります。
検査結果が良好でも肉親に高血圧や脳卒中などの特定の病気を患っている場合は、その人にも病気の因子があると考えられるので要注意です。
受診日から2~3週間後に「検査報告書」として郵送される場合や医師から直接聞く場合などもあります。どの方法で通知を受け取るかは施設によって違いますので、受診する施設に確認することをおすすめします。
血液検査結果の読み方
人間ドックでは基本の血液検査結果の読み方です。以下表にまとめてあります。
血球
検査項目 | 基準数値 | 異常値で疑われる病気 |
赤血球 | 男性:427~570万/μℓ 女性:376~500万/μℓ |
貧血、多血症 |
MCHC(平均赤血球ヘモグロビン濃度) | 男性:31.6~36.6% 女性:30.7~36.6% |
鉄欠乏性貧血 |
白血球数 | 男性:3900~9800/μℓ 女性:3500~9100/μℓ |
細菌やウイルス感染による炎症(扁桃炎、気管支炎、肺炎、腎盂腎炎、虫垂炎、膀胱炎)敗血症、再生不良性貧血、肝硬変など |
糖代謝
検査項目 | 基準数値 | 異常値で疑われる病気 |
空腹時血糖(糖代謝) | 110 g/dl 未満 | 糖尿病、膵炎、膵臓がんなど |
ヘモグロビンA1c | 4.6~6.2 % | 糖尿病、腎不全など |
脂質代謝
検査項目 | 基準数値 | 異常値で疑われる病気 |
LDLコレステロール | 90~139 mg/dl | 脂質異常症(心筋梗塞、脳梗塞、動脈硬化など |
HDLコレステロール | 40~85 mg/dl | |
中性脂肪(TG) | 30~149 mg/dl | |
総コレステロール(TC) | 120~219 mg/dl |
肝機能
検査項目 | 基準数値 | 異常値で疑われる病気 |
AST(GOT) | 10~40 U/ℓ | ウイルス性肝炎、劇症肝炎、急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変、肝脂肪、心筋梗塞 |
ALT(GPT) | 5~40 U/ℓ | |
y-GTP | 男性:70U/ℓ以下 女性:30U/ℓ以下 |
アルコール性肝炎、脂肪肝、肝硬変、肝臓がん、膵臓がんなど |
ALP | 115~359 U/ℓ | 急性肝炎、慢性肝炎、膵臓がん、骨肉種、前立線肥大など |
腎機能など
検査項目 | 基準数値 | 異常値で疑われる病気 |
尿酸 | 男性:3.7~7.0 ㎎/dℓ 女性:2.5~7.0 ㎎/dℓ |
高尿酸血症、痛風、腎不全など |
血清アミラーゼ膵機能 | 37~125 U/ℓ | 腎不全、肝硬変など |
尿素窒素(BUN) | 8.0~22.0 ㎎/dℓ | 腎炎、痛風、糖尿病性腎症、肝硬変など |
シスタチンC | 男性:0.63~0.95 mg/ℓ 女性:0.56~0.87 ㎎/l |
腎不全、甲状腺機能低下症など |
SCC | 1.5 ng/mℓ(CLIA法) | 子宮頸がん、肺がんのうち扁平上皮がん、食道がん、皮膚がんなど |
PSA | 4.00 ng/mℓ以下(CLIA法) | 前立腺がん、前立肥大、前立腺炎など |
シフラ | 3.5ng/mℓ以下(CLEIA法) | 肺がん、卵巣がん、乳がんなど |
神経特異エノラーゼ | 16.3ng/mℓ(ECLIA法) | 肺がんのうち小細胞がん、神経芽細胞腫、褐色細胞腫など |
腫瘍マーカーの検査結果の読み方
がんの診療に役に立つ腫瘍マーカーも人間ドックの際にはポピュラーな検査です。
検査項目 | 基準数値 | 異常値で疑われる病気 |
AFP | 10.0 ng/mℓ以下(CLEIA法) | 肝臓がん、肝硬変、慢性肝炎、急性肝炎など |
CEA | 5.0 ng/mℓ以下(CLEIA法) | 悪性腫瘍、転移性肝がん、大腸がん、膵臓がん、肺がん、胆道がんなど |
CA19-9 | 37.0 U/mℓ以下(CLEIA法) | 膵臓がん、胆嚢がん、胆管がん、胃がん、大腸がんなど |
PIVKA-Ⅱ | 40m AU/mℓ未満(ECLIA法) | 肝細胞がん、移転性肝がんなど |
CA125 | 35.0 U/mℓ以下(CLEIA法) | 卵巣がん、子宮がん、子宮内膜症など |
SCC | 1.5 ng/mℓ(CLIA法) | 子宮頸がん、肺がんのうち扁平上皮がん、食道がん、皮膚がんなど |
PSA | 4.00 ng/mℓ以下(CLIA法) | 前立腺がん、前立肥大、前立腺炎など |
シフラ | 3.5 ng/mℓ以下(CLEIA法) | 肺がん、卵巣がん、乳がんなど |
神経特異エノラーゼ | 16.3 ng/mℓ(ECLIA法) | 肺がんのうち小細胞がん、神経芽細胞腫、褐色細胞腫など |
CA15-3 | 25.0 U/mℓ以下(CLEIA法) | 進行性乳がん、卵巣がん |
BCA225 | 160 U/mℓ以下(EIA法) | 再発・転移乳がん |
SPan-1 | 30 U/mℓ以下(RIA固相法) | 膵臓がん、肝臓がん、胆道系がんなど |
ProGRP | 81 pg/mℓ未満(CLEIA法) | 肺がん(小細胞、大細胞、扁平上皮、腺) |
CA72-4 | 10.0 U/mℓ以下(ECLIA法) | 胃がん、大腸がん、卵巣がん、乳がんなど |
婦人系人間ドックの報告書の読み方
検診でわかること
内診:子宮や卵巣の大きさや固さで判断胞状奇胎、子宮筋腫、卵巣脳腫、卵巣がんなど
コルポスコープ診:膣拡大鏡を挿入し子宮頸部を診察子宮がん、子宮膣部びらん、子宮頸管炎など
マンモグラフィー:腫瘍の有無や形、石灰化の有無乳がん、乳腺線維腺腫、乳腺症
検査項目 | 基準数値 | 異常値で疑われる病気 |
卵巣刺激ホルモン(FSH) | 女性:卵胞期3.01~14.72、排卵期3.21~16.60、黄体期1.47~8.49、閉経後157.79以下 男性 :2.00~8.30 (mIU/ml) |
卵巣性無月経、ターナー症候群、精巣性女性化症候群、シーハン症候群、コールマン症候群、黄体機能不全など |
黄体形成ホルモン(LH) | 女性:卵胞期1.76~10.24、排卵期2.19~88.33、黄体期1.13~14.22、閉経後5.72~64.31 男性:0.79~5.72 (mIU/ml) |
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エストラジオール | 女性:卵胞期22~147 pg/mℓ、排卵期57~509 pg/mℓ、黄体中期56~321 pg/mℓ、月経期7~153 pg/mℓ、閉経後6~37 pg/mℓ 男性:10~40 pg/mℓ |
エストロゲン産生腫瘍、卵巣過剰刺激症候群、先天性副腎皮質過形成、多胎妊娠、卵巣不全、卵巣定型性、早発卵巣不全など |
エストロゲン | 男性:2~20 μg/ml 女性:卵胞期 3~20 μg/ml |
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プロゲステロン(黄体ホルモン) | 女性:卵胞期0.1~0.4ng/mℓ、月経期0.1~0.7ng/mℓ、排卵期0.1~3.4ng/mℓ、閉経後0.0~0.3ng/mℓ、黄体中期5.0~30.8ng/mℓ 男性:0.1~0.3ng/mℓ |
先天性副腎過形成、クッシング症候群、副腎がん、妊娠、無月経、排卵障害、アジソン病、汎下垂体機能低下症など |
まとめ
検査の判定は、その日のうちに教えてくれるものと後日郵送で送ってくるものとがあります。多くの施設で2~3週間程で郵送で届けてくれ、施設によっては直接判定を聞きにいく場合もあります。
検査を定期的に受けている人は、前回の数値と比較してみましょう。一度だけの数値で見るよりもその経過を見ることが大切です。基準値より数値が悪くても必ずしも病気になっているかはわからないので、異常があった検査項目は再度精密検査を受けることをおすすめします。
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