2008年から健康診断は年に1回、40~74歳の全国民に健康診断が義務づけられました。会社の従業員やその家族、各市区町村の住民や公務員などにたいして実施されています。健康診断の目的は「病気の早期発見」です。
それに対して人間ドックは任意で受診する為、自身の健康維持の意識が高い人や病気の自覚症状のある人が受診します。
今回は、病気の早期発見に役立つ人間ドックと健康診断について、2つの違いやメリット・デメリットについて徹底解説します。
健康診断とは?健診と検診との違い
健康診断とは、定期的に検査を受けることで自分の身体の健康状態を知って、隠れた病の早期発見や生活習慣病の予防を目的としたものです。日本では定期健診と呼ばれる制度があるため、職場や住んでいる地域の自治体が主催するものなら無料、もしくは少額で受けることができます。
健診とは、もともと自覚症状がない人を対象に行っていて、異常がないかを調べる基本的な検査です。これを「スクリーニング(ふるいわけ)」検査といいます。身体計測や血圧測定、血液検査や尿検査、便検査、超音波検査や心電図検査など基本的な検査を行います。その他には視力検査や聴力検査などもあります。
健診はからだ全体を調べるのに対して、「検診」は特定の病気を見つけるための検査のことをいいます。市区町村の検診には、肺や胃、大腸、乳房、骨粗しょう症や子宮がん検診や肝炎ウイルスの検診などがあります。もしくは婦人科検診や前立腺の検診を行っている所もあります。
健康診断では100%病気を発見できるわけではなく、病気であっても所見で異常がない場合もあります。あくまでも健康状態の目安として検査結果と判定の基準数値を見比べてみましょう。もし要精密検査などの判定を受けた場合は精密検査を受けることがおすすめです。
人間ドックについての基礎
人間ドックとは、自覚症状がない病気を早期発見するために行う検査で、一般的に自治体や会社の健康診断よりも検査の項目が多く、希望者にはオプションの検査を加えることができます。任意で受けるものなので、自分の健康を守るという意識が高い人が受けています。健康保険の適用はなく、全額自己負担になります。
一部の企業や自治体で助成制度を設けている場合もありますが、基本的に数万円~数十万円かかると思っておくと良いです。施設によって検査内容や方法、料金、検査時間などが異なっているので自分に合った施設を選ぶことが大切です。その内容は、大きく分けて7種類あります。
①基本人間ドック:健診の際にいくつかの検査項目を追加する検査方法
②総合人間ドック:主に1泊2日かけて体全体の検査を行います。睡眠中は心電図検査なども行います。
③脳ドック:MRIやCTで脳の形状から血管の状態まで調べます。脳卒中や脳出血、くも膜下出血など脳の病の早期発見を目的にしています。
④心臓ドック:動脈硬化や心筋梗塞などの早期発見に役立ちます。
⑤呼吸器ドック:CT検査で肺がんや呼吸器系の病気の早期発見を行います。
⑥消化器ドック:食道や胃、大腸などのがん検査になります。
⑦婦人科ドック:子宮がんや乳がんなど女性特有の病の早期発見を行います。
このように、より専門的な検査を行うので病気の早期発見に役立ちます。
2つの大きな違いとは?
人間ドックと健康診断との違いは大きく5つあります。
①検査項目の数
②人間ドックは任意
③健康診断は最低限の検査項目
④費用
⑤施設による検査内容などです。
①は、人間ドックも健康診断も身体の状態を調べて病気の早期発見を目的にしていますが、検査の項目数で大きな違いがあります。通常の会社や自治体で受ける健康診断では10~20項目ほどになっていますが、人間ドックでは100項目ほどまで選ぶことができます。
②健康診断は労働安全法で定められているので企業は従業員に対して受けさせる義務があります。人間ドックの受診は任意なので自分で決めることができます。
③健康診断は法律で検査項目が定められているのに対して、人間ドックに定めはありません。
④企業や自治体の健康診断は無料で受けられ、一部自己負担の場合もありますが少額で済みます。それに対して人間ドックは全額負担の場合が多く、数万円~数十万円かかる場合があります(自治体や企業によっては助成金制度があることもあります)。
⑤健康診断はどこの施設で受診しても法律で検査項目が定められているため、それほど差はありません。しかし人間ドックは行っている施設によってコースや検査項目の種類などの違いに大きな差があります。
人間ドックと健康診断メリット・デメリット
それぞれのメリットとデメリットをご説明します。人間ドックの最大のメリットは、体の隅々まで検査するので病気を発見できる確率が非常に高いということになります。健康診断で行われる法律で定められている検査項目は11項目になります。それに対して人間ドックの検査項目は100を超えるとされています。
定期健診では、
①既往歴及び業務歴の調査
②自覚症状及び多覚症状の有無の検査
③身長・体重・胸囲、視力及び聴力
④胸部エックス線検査及び喀痰検査
⑤血圧の測定
⑥貧血検査
⑦肝機能検査
⑧血中脂質検査
⑨血糖検査
⑩尿検査
⑪心電図検査
以上の11項目になります。
人間ドックではこの11項目に加えて、
・基礎検診:5000~1万円
・PET(陽電子放射断層撮影):10万~15万円
・がん遺伝子検査:20万円~30万円
・CT:1万円~
・MRI:1万円~
・SPECT(単光子放射断撮影):5万~15万円
・胃カメラ:1万5000~3万円
・大腸内視鏡:1万5000~3万円
・ピロリ菌検査:3000~5000円
・腫瘍マーカー:2000~4000円
・マンモグラフィー:3000~5000円
などが受けられます。
人間ドックのデメリットは費用が高額なことになります。人間ドックでは、最低数万円かかります。検査項目によっては1回の診査で数十万円することもあります。
任意なので会社を休む必要もあり、気軽に受診することができません。健康診断のメリットは費用が安く、手軽で、会社を休む必要がない点です。デメリットは病気を見逃すリスクが高いことにあります。
まとめ
人間ドックは費用が高く、会社を休んで受診する必要も出てくるので気軽に受けることが難しいですが、体全体の精密検査ができるので病気の早期発見には大変有効的です。
健康診断は、無料もしくは費用が低額で会社を休む必要がないため気軽に受けることができますが、その反面、病気の早期発見ができないこともあります。
2つを上手に活用するには、まずは健康診断を受けて、異常があった検査項目を人間ドックで詳しく調べてもらうようにしましょう。
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