みんなが知りたい人間ドックの基礎知識から検査の種類まで徹底解説!

人間ドックで早期発見できる主な疾患

どんなに健康な人でも、年を重ねるごとに病気になるリスクは上がっていきます。とはいえ、医療技術が発達している今日では病気を治すことは十分に可能だといえるでしょう。病気を治すための鍵となるのが早期発見です。早めに病気を見つけて対処することで、治癒率はぐっと上がります。

病気の早期発見に一役買ってくれる人間ドックは料金が高く、また義務ではないため足が向かない人も多いかもしれません。しかし、健康を維持して長生きするためには人間ドックを定期的に受診するべきだといえるでしょう。

人間ドックではどのような病気を発見できるのでしょうか。早期発見が期待できる病気についてまとめました。

「がん」は早期発見で生存率が上がる

よく知られている通り、がんは日本人の死亡原因の第1位です。日本人の3人に1人はがんで亡くなっており、さらに成人のがん発症率は2人に1人。このことを考えると、がんは誰にとっても他人事ではないといえるでしょう。

中には、「健康診断で特に異常がなかったから大丈夫」と思う人もいるかもしれません。しかし、健康診断の目的は病気の危険因子があるかどうかを調べることです。

特定の病気にかかっているかどうかを知りたいのであれば、人間ドックなどの検診を受ける必要があります。実際に、健康診断では発見できなかったがんが人間ドックで見つかるケースは多々あります。

がんは、発見が早期であればあるほど生存率が上がります。国立がんセンターの調査によると、ステージⅠでがんを発見できたときの5年生存率は96.9%。その後はステージⅡで80.2%、ステージⅢで46.6%、ステージⅣで16.2%と、発見が遅れるほどに5年生存率はどんどん低くなっていきます。

ひと昔前までは、がんは不治の病だといわれていました。しかし医療技術が著しく進歩している現在、早期発見することで完治を目指せるケースはたくさんあります。「自分は大丈夫」と思わずに人間ドックを受けることが、自分自身の命を救うといえるのではないでしょうか。

動脈硬化対策が「脳卒中」の予防に

脳卒中は、脳の血管が詰まったり破れたりすることによって起こる病気です。脳卒中の種類としては「脳梗塞」「脳出血」「くも膜下出血」「一過性脳虚血発作」などがあり、そのうちの7割は脳梗塞が占めています。

そして、脳卒中はがん・心疾患と共に三大疾病の1つ。約10%ほどの日本人が、脳卒中によって命を落としています。

脳卒中と深い関係があるのが動脈硬化です。動脈硬化とは、簡単にいうと血管の老化のこと。血管そのもののしなやかさが失われて弱くなり、血栓が詰まりやすくなります。動脈硬化自体にはこれといった症状はありませんが、ある日突然脳卒中などの重大な症状を引き起こします。

そのため、脳卒中を予防したいのであれば動脈硬化対策をすることが不可欠です。そして、動脈硬化と切っても切れない関係にあるのがLDLコレステロール。LDLコレステロールが多いほど動脈硬化になりやすいことが、最近の研究で分かっています。人間ドックでLDKコレステロールが高いと分かれば、早めに対処しやすいといえるでしょう。

なお、より細かい検査を受けたいときには脳のMRIやMRA、頸動脈エコーなどを受けられます。これらはオプション検査項目となりますが、脳卒中が心配な人はぜひ検討してみてください。

心筋梗塞になるリスクを人間ドックで知る

心筋梗塞は、心臓の筋肉に血液を送る冠動脈に異常が起こる病気です。冠動脈が塞がれて血管が流れなくなると心筋が壊死するため、最悪の場合にはそのまま死に至ります。医療の進歩によって心筋梗塞後の死亡率は低くなっていますが、それでも12~30%ほどの人は助からずに命を落としています。

そして、心筋梗塞の原因は脳卒中と同様に動脈硬化です。動脈硬化になった血管は健康な血管に比べて非常にもろく、ちょっとしたきっかけによって詰まってしまいます。そして、血管が詰まって心筋に血液が供給されなくなると、およそ30分ほどで心筋の一部が壊死します。

動脈硬化になりやすいのは、コレステロールが高い人や糖尿病を患っている人、血圧が高い人、タバコを吸う人など。また、身内で心筋梗塞になった人がいる場合はさらに注意が必要だといえます。

このことから、動脈硬化および心筋梗塞の予防のためには生活習慣の改善が欠かせません。実際にすぐに行動に移すのは難しい部分もあるかもしれませんが、人間ドックを受診すればどれくらい心筋梗塞になるリスクがあるかをはっきりと知ることができます。

医師の指示があれば健康への意識が高まるため、生活習慣の改善に取り組みやすいといえるのではないでしょうか。

糖尿病は初期症状がなく進行すると危険

糖尿病は初期症状が出にくい病気であるため、恐ろしいというイメージを持っている人は少ないかもしれません。

しかし、糖尿病が進行して合併症になると非常に危険。糖尿病そのものが原因で死亡リスクが上がることはないものの、合併症によって死亡するケースは多くあります。実際に、糖尿病患者の寿命は健常者の寿命に比べて5年近く短いといわれています。

糖尿病の3大合併症は「糖尿病性網膜症」「糖尿病性腎症」「糖尿病性神経障害」の3つ。糖尿病性網膜症は、高血糖によって眼の網膜の血管がダメージを受けることによって起こります。これは、失明の原因として緑内障に次いで第2位となっています。糖尿病性腎症は、腎臓の血管がむしばまれることで発症します。

これによって腎臓が機能しなくなると、最終的には透析なしでは生きられない身体になってしまいます。そして、糖尿病性神経障害になると高血糖によって手足に痛み・しびれなどの感覚異常が起こります。これが進行すると、潰瘍や壊疽になるケースもあります。

これらを避けるためには、糖尿病を早期発見して血糖値をコントロールすることが大切です。自覚症状がほとんどない病気だからこそ、早期発見のためには人間ドックの受診が不可欠だといえるでしょう。

なお、人間ドックでは血液検査にて糖尿病の有無を調べます。血糖値とHbA1cが基準値より高いと、糖尿病だとみなされます。

まとめ

ここでご説明したように、人間ドックを定期的に受診することで三大疾病であるがん・心疾患・脳卒中の早期発見が期待できます。

また、日本人のうち1000万人超が罹患しているといわれている糖尿病にも備えることができます。さらに人間ドックで発見できる病気は他にもたくさんあり、健康体を維持するためにはとても有用だといえるでしょう。

健康なうちは、なかなか人間ドックを受診する気にはならないかもしれません。しかし、自覚症状が出るようになってからでは手遅れなこともあります。長生きするためにも、時間を見つけて人間ドックを受診してみてはいかがでしょうか。

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