▼目次
人間ドック受ける際に知っておきたい4つのデメリット
1.検査による被ばく
2.検査による合併症
3.病気かもしれないという不安を抱える
4.検査で発見できない病気がある
番外編~元慶應大学病院のがん治療医、近藤誠氏の意見~
自分の健康状態を詳しく把握することができる人間ドック。通常の健康診断よりも細かくチェックしてもらえ、病気の早期発見が出来ると言われています。しかし、実は人間ドックにはデメリットがあるのです。健康維持のため定期的に受けているかたも多いかと思いますが、残念ながら万能ではありません。今回は人間ドックを受ける際に知っておきたい4つのデメリットをお伝えします。デメリットをきちんと把握し、受けなきゃよかったなんてことにならないようにしましょう。
人間ドック受ける際に知っておきたい4つのデメリット
人間ドックのデメリットとして以上の4つが挙げられます。次の章よりひとつひとつ説明します。
1.検査による被ばく
“被ばく”と聞くと恐ろしいや体に悪そうといったイメージがあると思います。被ばくの何が悪いのか?簡単に言うと、被ばくをすると発がんの危険が高まるということです。
被ばくをする検査は、
・レントゲン検査(胸部X線や腹部X線)
・透視検査(バリウム検査)
・CT検査
・PET検査
これらの検査はX線を浴びますので被ばくをします。
定期的に人間ドックを受けて被ばくをすることは逆に発ガンの危険を高めることにもなります。特に最大の発ガン原因は、CT検査です。CTは、高画質が得られる代償として、X線撮影の100倍から500倍もの被ばくを余儀なくされます。国内でがんが原因で死亡した人の3.2%は医療被ばくが原因とされていますので、がんの早期発見のために受けている人間ドックが原因でがんになるという可能性はゼロではありません。
2.検査による合併症
人間ドックの検査は基本的に安全な検査ですので、大きな合併症はめったに起こりません。しかし、ひとたび起こってしまうと重篤なものも多く、重症化してしまうものもあります。
まず、いったいどんな合併症が起こるのでしょうか。例えば、胃カメラの場合は胃粘膜や消化管を傷つけて出血や裂創してしまう可能性があります。バリウム検査の場合は、バリウムがうまく排出されず腸内に残ることで虫垂炎や憩室炎といった炎症を起こしてしまうこともあります。
では、どのくらいの頻度で合併症は起きているのでしょうか。全国の病院で5年間に施行された上部内視鏡検査(胃カメラ)740万8,688件の合併症に関する調査をご紹介します。
*参考URL:https://www.jstage.jst.go.jp/article/gee/52/1/52_1_95/_pdf
これによると、合併症の頻度は、740万8,688件中、384件で0.005%でした。2万件に1件の割合で合併症が起こっているということになります。ですので、検査を受ける際は、頭の片隅に入れておきましょう。
3.病気かもしれないという不安を抱える
人間ドックの受診者は年間300万人を超えるといわれていますが(2012年)、受診者の9割方のどこかしらに異常が発見されています。そして病気が疑われた場合、詳しい検査を受けることになります。
例えば、がんが疑われた場合、CT検査受け、組織を採取し、3~6か月経過観察をするということがあります。組織に変化がない場合は、「良性の可能性が高い」という結果になりますが、結果が出るまでの間、がんかもしれないという精神的ストレスを被り、追加検査のために金銭と時間を費やさなければなりません。
脳に腫瘍が見つかった場合は、大きなものほど破裂の危険は高まりますが、1センチ未満の腫瘍が1年以内に破裂する可能性は0.05%です。20年経っても1パーセントと言われています。破裂しないだろうけど、もしかしたらするかもしれないという不安を日々持ち続けながら生活をしないといけなくなるということです。
このように、白黒はっきりしない状態であるということが人間ドックによって明らかにされてしまうことがあります。
4.検査で発見できない病気がある
人間ドックでみつかる病気は、高血圧や胆嚢ポリープ、脂肪肝、乳腺のう胞、腎嚢胞などでそれほど深刻な病気ではないことが多いです。一番見つけて欲しいがんや心臓病は見つけられないことがよくあります。どの検査においても人の手を介するため100%の診断ができるものではなく、中にはどこかの過程で腫瘍や症状を見落とすという落とし穴も潜んでいます。
小林麻央さんは人間ドックで乳がんの可能性があると診断され、再検査をした結果、乳がんではないと診断されました。それから、自分でしこりに気が付いたのは再検査から半年後。このときの再検査が誤診だったかどうかは気になりますが、結果的には乳がんだったわけですから、人間ドックを受けていて疑わしいという診断まで出ていたのに、早期発見につながらないケースも残念ながらあるようです。
番外編~近藤誠氏の意見~
元慶應大学病院のがん治療医、近藤誠氏は
「がんには治るがんと治らないがんがあり、治るがんであればいつ見つけても治るし、治らないがんであれば早期発見した所で治らないので、症状が出てから発見するのが良い」という考え方です。さらに近藤氏は、人間ドックや検診は不要・有害という説を唱えています。
理解できる部分もあるのですが、個人的には不要な治療を生んでしまうとしても、人間ドックを受ける意味はあると思っています。例えば、症状が出てから病院を受診して、そこでがんが見つかるとします。それが、進行したがんや末期がんと診断された時にどう感じるでしょうか?絶対に、「なぜ人間ドックやがん検診を受けておかなったのだろう」と思うはずです。手の施しようがない状態で見つかった時の後悔や絶望感は計り知れないものがあります。そういった事を考えるとやはり、人間ドックや検診で病気を早期発見することによるデメリットがあったとしても、私は早い段階で見つけたいと考えます。
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