目次
1.予約前に知っておきたいこと
2.人間ドックと健康診断の違い
3.予約から検査の流れ
人間ドックの種類は多岐にわたり、各病院によっても異なります。「どれを受けたらいいかよくわからない!」という方のために、
1.どんな人がどんな検査を受けたらいいのか
2.人間ドックと健康診断は何が違うのか
3.予約から検査の流れ
以上の予約前に確認すべき3つのことを紹介します。自分にあった人間ドックは何なのかをよく吟味してから受診し、健康維持に役立てていきましょう。
1.予約前に知っておきたいこと
どんな人が受けたらいいの?
☑35歳以上である
☑過去の健康診断で異常値が出ている項目がある
☑血縁者に高血圧・脳梗塞・がん・糖尿病を患った人がいる
☑気になる健康症状がある
上記の項目のどれかに該当する人は、人間ドックの受診をお勧めします。
予約する際に注意することは?
☑人間ドックは自覚症状のないときに体の異常を見つけることを目的としています。
すでに何か症状がある場合は人間ドックではなく一般外来で医師の診察を受けてください。
☑検査当日は薬の服用は出来るだけ避けるのが基本ですので、いつも飲んでいるお薬がある場合は主治医の指示に従ってください。
女性の方
☑妊娠中または妊娠の可能性のある方は、多くの検査項目が制限されますので人間ドックの受診はお勧めできません。
☑お子さま連れで受診したい場合は、託児施設の有無をご確認ください。
☑生理終了後5日以上の経過でないと子宮がん検査等実施できない場合がありますので、予約日の設定に注意してください。
どんな検査を行うの?
世代によって、また性別によっても、健康について気になることは違います。そこで、それぞれの世代別に、受けておきたい検査項目を紹介します。 検査する施設によって検査できる項目が違うこともあるので、「どんな病気」「どの部位」をチェックしたいのかを事前に決めておきましょう!
■30代
30代はまだまだ病気のリスクが低い年代ですが、子宮頸がんの発症のピークは30代後半(日本産科婦人科学会より)など、女性特有のがんは早い年齢でも発症することがあります。この年代になったら女性は定期的に婦人科の病気について検査を受けましょう。
男女共通:糖尿病・消化器系のがん(胃&大腸)
女性:子宮頸がん・乳がん
■40代
40代にさしかかると、糖尿病をはじめとする生活習慣病の症状が現れだします。
また、飲酒や喫煙をされる方はその影響があらわれてくる頃ですから関連する臓器のがんについてはとくに注意しておきましょう。
また、自覚症状が出にくい脳の病気を防ぐために脳ドックを受けることもおすすめです。
そして、女性の場合、閉経を迎えると女性ホルモンの低下に伴って骨の質量が減少するため、若いうちに自分の骨の状態を知って骨そしょう症を防ぎましょう。
男女共通:生活習慣病、糖尿病、動脈硬化
女性:子宮がん・乳がん、骨粗鬆症
■50代
50代になると、定期的に継続して検査を受け続けることが重要になります。
特に、がん、脳卒中、心臓病などのリスクは視野にいれておかなければなりません。いずれも50代から発症が本格化するためです。(厚生労働省ホームページより)
また、男性は前立腺がんが増える時期のため、腫瘍マーカー検査をおすすめします。
男女共通:がん・心臓病、脳卒中
男性:前立腺がん
女性:子宮がん・乳がん、骨粗鬆症
■60代
60歳を迎えても、現在ではまだまだご隠居さんと呼ぶには、若い世代です。
本格的ながん年齢を迎え、ここで大きな病気をすると、医療費や療養費がとても高くつく年代でもあります。この年代は項目だけではなく、定期的に、継続して検査を受け続けるのが重要です。幅費広い検査で発症リスクを押さえておきます。
特に、三大疾病(「がん」「脳卒中」「心臓病」)をしっかりと予防しましょう。さらに、60代は認知症も心配になってくる年代です。
男女共通:がん・心臓病、脳卒中、認知症
男性:前立腺がん
女性:子宮がん・乳がん、骨粗鬆症
費用ってどれくらい?
一般的な人間ドックの検査内容ですと、日帰りで平均3~8万円です。「1泊2日コース」などのボリュームのあるコースは、更に高額で20万円以上かかるコースもあります。
料金が高ければ、より内容が多いというわけでもありません。人間ドックに明確な定義はないため、実施機関がコースを設定し「人間ドック」と言ってしまえば、どんな検査内容であっても人間ドックになってしまうため注意が必要です。
コース 内容 費用 時間
基礎ドック 血液検査、尿検査、身体測定、胸部X線撮影等 3~8万円 半日
専門ドック 超音波検査、内視鏡検査、CT、MRI、PET等 8~15万円 半日~1日
フルコース 全身徹底検査 20万円以上 2日以上
2.人間ドックと健康診断の違い
会社にお勤めのかの多くは1年に1度、健康診断を受けていることでしょう。では、毎年受けている健康診断と人間ドックは何が違うのでしょうか。似ているようで違うその差をまとめました。
■目的の違い
「現在の健康状態を明らかにし、健康異常に対する早期発見と健康保持」という大きな目的は同じです。
人間ドックでは、より詳しい検査しますので、気になる疾患をしっかり検査することを目的に受診される方も多くいます。気がつかないうちにかかっているかも知れない病気を早期に発見し、早期に治療すること。各自の体力や健康度を評価して、それぞれに適した生活指導により、健康維持または増進することができます
■定義の違い
健康診断
健康診断はその名の通り健康を診断する検査という広い意味合いを持ち、色々な種類の健康診断がありますが、法定健康診断と呼ばれる法律で定められた検査を指すことも多いです。労働安全衛生法では、事業所(企業)は労働者(従業員)に対して、年に1回定期的に行う事が義務付けられており、労働者(従業員)は健康診断を受診することが義務付けられています。法定健診では、含まれるべき項目が明確に決まっており、その項目を含む健康診断を受診することになります。その意味では、国によって健康診断の内容が定義されているものと言えます。
人間ドック
一方、人間ドックは法的な定義もなく、この検査項目が含まれないと人間ドックと言えない、といった明確な定義はありません。医療機関が、自らの検査を人間ドックと名付ければ、それが人間ドックになります。一般的には、健康診断の内容に加えて、腹部超音波検査や胃の検査である胃バリウム検査、または胃部内視鏡検査、最近では、ABC検診(血液検査)による胃の疾患のリスク検査を含めたものを人間ドックと呼んでいます。日本人間ドック学会では、機能評価認定という、人間ドックを行うにあたって一定の基準に基づいた項目をクリアした医療機関を認定しており、一つの人間ドックの定義を作っています。ただし、人間ドック学会に所属しない医療機関も多くありますので、機能評価認定施設ではないからといって、人間ドックとして認められないものだということではありません。
■検査項目の違い
健康診断は、糖尿病や高脂血症など生活習慣病リスクに関する検査が中心で、検査内容は簡単なものが多く、拘束時間は1時間程度、検査項目は10~15項目というケースが多いです。
一方、人間ドック学会発表の「基本検査項目」は、52項目に及びます。受診後に「生活習慣病が見つかった」「初期のがんが見つかった」とよく耳にするのは、人間ドックのほうが健康診断よりも検査項目の多さから総合的に診断できるためです。しかし、精密になればなるほど費用負担と拘束時間が多くなります。
■費用の違い
健康診断はお勤めの方であれば、無料か小さい費用負担で受診することになります。全額を自己負担で受診する場合でも、1万円程度で受診が可能です。人間ドックは一般的な内容であれば4万円程度の受診費用がかかります。CT検査やMRI検査などの専門ドックを追加していくと、10万円を越えることも珍しくありません。自分の予算感と、受けたい検査内容や期待している医療サービス内容に応じて医療機関を選ぶ必要があります。
人間ドックで見つかる病気は?
人間ドックで発見できる病気は、主に生活習慣病(心疾患・脳卒中・他)とがん(悪性新生物)が基本です。
人間ドックでは、CTやMRIなどの高度な医療機器を用いて精度の高いスクリーニングを実施することで、小さな病変を見つけ出すことが可能です。がんや生活習慣病の初期段階ではほとんど自覚症状がないため、知らぬ間に進行しているケースが多く見受けられます。万一、がんなどの重大な疾患が見つかっても、初期の段階で治療が出来れば7~9割以上の人が助かる見込みがあるといわれています。
取り返しのつかないことにならないためにも、定期的な人間ドックを受けましょう。
3.予約から検査の流れ
予約
人間ドックは完全予約制になっていますので、自分が受けたいコースが決まったら、予約をしましょう。直接、人間ドックを実施している施設に問い合わせるのもいいですが、Web上で予約ができる施設も多いです。「人間ドック 予約」と検索すると、簡単に予約できるサイトがいつくか出てきますので、コースや費用・日程・エリアを選択し、最適な施設を選びましょう。
問診票の記入
予約した施設から送付される問診票に記入しましょう。プランによっては痰や便の採取を数日にわたって求められることがあります。(検査当日提出)
受診前日
受診前日の夕食や水分補給について、前日の○○時までは可と記載してあると思いますので、それに従うのがベストです。一般的に検査前日9時以降までに夕食をすませその後、検査までは絶食というパターンが多いです。人間ドックでよい結果を出そうと検査直前になって普段と比べて極端に食事の量を減らしたり、逆に空腹にならないよう食べ溜めをしたりする人もみられますが、こうした場合には、日常の健康状況を正しく把握することはできません。指定された時間までに普段どおりの食事で、消化のよいものを食べましょう。
検査当日
通常絶飲食状態になります。大変ですが、正しい検査結果のためにも我慢しましょう。必要書類や検体容器を受付に提出し、着替え・検査・診察・お会計となり、一般的な人間ドックの所要時間は2時間程度で完了します。
結果報告の送付
検査結果は当日わかるものもありますが、総合判定結果は2~3週間後に郵送されてくることが多いです。
結果が遅いか早いかは、検査機器が揃っているか、病院や検査機関で診断できる医師がいるかどうかなどによって変わってきます。また、診察や入院設備のある施設などで、ドック以外の患者さんがたくさんおられるようなところでは、緊急性の高い人から結果を出すこともあります。そのため、結果が少し遅れることもあります。再検査や要精密検査となった場合、医療機関によっては、早目に電話がかかってきて呼び出しされることもあるようです。
再検査・精密検査の実施、栄養指導
検査結果到着後に、検査で異常が出た項目の再検査、医師の説明面談、管理栄養士のアドバイス等で、再度行くことがあります。
再検査は検査による数値が異常だったときに、それが一時的な変動だったのかどうかをもう一度検査して確認するものです。再検査の結果、同じように異常が見られれば精密検査へ進み、異常がなければ「一時的な変動だった」と見なされます。
各医療機関への紹介
同じ病院で再検査、精密検査を受けるときは紹介状がいりません。初診料もかからず、検査のときのデータもそろっているので、スムーズに再検査や精密検査を受けられます。
別の病院を選択すると、大学病院などの大きな病院では紹介状が必要になります。紹介状なしでの初診の場合、初診料、検査料以外に特別な料金がかかります。ただし、かかりつけの病院があってそこで再検査などを受けるのなら、こうしたデメリットはなく、その病院でのこれまでの記録(カルテ)も役に立ちます。その場合は人間ドックの検査結果を持参しましょう。
また、かかりつけではない別の病院を選ぶケースでも、セカンドオピニオン的な意味合いで納得のいく検査を受けられる、通いやすい近くの病院を選べるなどのメリットがあります。
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