人間ドックを受けたことがない方の中には、どれくらいの時間を要するのか知りたいという方も多いことでしょう。しかし、人間ドックには一日ですべての検査を行うものから一泊や二泊の泊りがけで行うものまでさまざまなコースがあるため、所要時間を一概にいうことはできません。また、所要時間は検査項目によっても異なることから、所要時間を知るためには、その病院で行っている基本検査項目を知っておく必要もあります。
そこで今回は、日帰りの人間ドックに限定し、所要時間や検査内容について解説します。
日帰り人間ドックの所要時間
人間ドックにはオプションまで含めるとさまざまな検査項目があり、より詳しい検査を行うために施設に宿泊しながら検査を実施するコースなども存在します。よって、日帰りコースを選択した方の多くは、宿泊などをせず、できるだけ早く検査を済ませたいと考えていることでしょう。
しかし、病院の規模や検査当日の混雑状況によっても所要時間は大きく変わるため、日帰りに限定した場合でも所要時間を一概にいうことはできません。ただし、後述する最も基本的な検査項目をスムーズに行った場合の所要時間は2~4時間となっており、この程度を目安として考えておくとよいでしょう。
また、日帰り人間ドックの検査項目はオプションを含めない基本的なものだけでも病院によって違いがあるケースもあるため、できるだけ早くすべての検査を終わらせたいという場合は、その病院が行っている検査項目をあらかじめ確認しておく必要があります。
ちなみに、人間ドックの待ち時間が最も短いのは年度初めの4月といわれています。このことには新年度が始まることで人間ドックを受けるための時間を取りづらくなっている人が多いことが大きく関係しており、できるだけ早く人間ドックを済ませてしまいたい人は、この時期に申し込んでしまうのもよいでしょう。
日帰り人間ドックの基本検査項目
基本検査項目とは人間ドックを受けに来たすべての人を対象として行われる検査項目のことを意味します。この内容は病院によって若干異なることがありますが、日本人間ドック検診協会では以下の検査を基本検査項目として定めています。
・身体計測
健康診断でも行われるようなオーソドックスな身体計測です。人間ドックでは身長、体重、 肥満度、BMI、腹囲の計測を行います。
・血圧
原則的に2回測定を行い、平均値の算出も行います。
・心電図
心臓の活動をグラフに表し、不整脈や狭心症、心筋梗塞などがないか調べます。
・眼
視力、眼圧、眼底の状態の検査を行い、眼の異常がないかを調べます。
・聴力
健康診断でも行われる一般的な聴力検査を行います。
・呼吸機能検査
年齢、性別、慎重から算出した予想肺活量に対し、実際の肺活量がどれくらいあるのかをパーセンテージで示します。
・胸部X線
胸部にX線を照射し、肺がんや肺結核などの疾患がないか調べます。
・上部消化管X線
バリウムを飲んだ状態でX線を照射し、食道、胃、十二指腸に異常がないかを調べます。
・腹部超音波
腹部に超音波を当て、肝臓、すい臓、腎臓などの臓器に腫瘍などがないかを調べます。
・血液検査
健康診断でも行われる一般的な血液検査です。
・尿検査
採尿し、尿に含まれるタンパク質や糖分の量を調べます。
・便(潜血検査)
便に血が混じっていないかを調べます。
検査以外に行うことは?
人間ドックでは上述した基本検査だけでなく、医師が患者に対して以下のことも行います。
・医療面接(問診)
一般的な健康診断と同様に人間ドックでも問診票を渡され、生活習慣などに関する質問に回答することとなります。医療面接ではその回答内容にもとづいて医師が問診を行い、生活習慣などから罹患する危険性のある疾患などを見極めます。
・医師診察
健康診断では問診を行った後、聴診器を使用した胸部の聴診や、頸部・腹部の触診を行いますが、これと同様の医師診察は人間ドックでも行われます。基本的な目的は一般的な健康診断で行われる医師診察と同じであり、特別な準備や心構えは特に必要ありません。
・結果説明
検査結果の中には専門的な用語なども含まれるため、専門知識のない方は検査結果を見るだけではその内容を理解できないこともあります。このことから人間ドックには医師による結果説明も含まれており、検査結果の見方などに関する質問をすることも可能です。また、検査結果によっては再検査を受けるための医療機関を紹介してもらえることもあります。
・保健指導
検査結果が出たら、医師はそれについて説明を行うだけでなく、検査結果をもとにした生活習慣の改善方法などの指導も行います。これを保健指導と呼び、これもまた人間ドックに含まれています。
オプション検査項目とは?
日帰り人間ドックでもオプションを選択することは可能となっており、家族や兄弟で特定の重い疾患を患った人がいるという方などは、日本人間ドック検診協会が定める以下のオプション検査を受けることが推奨されます。また、病院によってはこれら以外の検査をオプションとして受け付けていることもあります。
・上部消化管内視鏡
内視鏡を挿入し、食道、胃、十二指腸の内部の状態を調べます。この検査は「胃カメラ」と呼ばれることもあり、がんやその初期症状でもあるポリープを見つけることなどが可能です。
・乳房診察+マンモグラフィ
乳がんの発見を目的とした検査で、基本的に女性が対象となります。乳房診察に関しては医師の判断次第では省略することも可能です。
・乳房診察+乳腺超音波
マンモグラフィと同様に乳がんの発見を目的とする検査です。こちらの検査でも乳房診察は医師の判断次第では省略することが可能です。
・婦人科診察+子宮頚部細胞診
検体を採取することによって子宮頸がんなどの発見につなげることができる検査です。女性が対象となっており、婦人科診察も同時に行います。
・PSA
前立腺がんの発見を目的とする男性を対象とした検査です。
・HCV抗体
C型肝炎の感染の有無を調べる検査です。過去に輸血を行ったことがある方など、C型肝炎に感染している恐れのある方に推奨されます。
まとめ
日帰りで受けることができる人間ドックは多くの病院が行っており、予約を入れるのも比較的簡単です。しかし、より詳細な検査を行いたいという場合、日帰りではすべての検査を終わらせることができず、宿泊が必要となることもあります。
このことから、日帰りの人間ドックには検査をすぐに終わらせられるというメリットはあるものの、本来受ける必要のある検査を省略してしまいかねないため、最初から日帰りで受けることを前提とせず、必要な検査をリストアップすることから始めてみるのがよいでしょう。
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